スケッチ:風

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食事時、コンビニでおしぼりをもらい忘れても死なない。

あたりまえのことを再び理解するのに時間がかかった。

失敗を恐れていた。小さな失敗をする度に大きな後悔をした。風が当たるだけで身体はちぢこまる。そんな数年を過ごしてきた。

口癖というが、身体に刻まれた口(そして喉や腹)の一連の動き、その癖はなかなか取れない。

「死にたい」と口にすることは、本当にそう思った時期を超えてもしばしばあった。思ってもいないのに。それは悪霊が取り憑いたようだった。

風が気持ちいい。そう思えることは幸せだと思う。

藤原 惟