「虹」と「麻雀」で分かる発達障害のキホン (自閉症啓発コラボ2016・前編)
photo by dominique cappronnier
はじめに
この記事は「世界自閉症啓発デーコラボ企画」の参加ブログ記事です。
テーマ:「嬉しかった(お願いしたい)配慮とありがとうの気持ち」
「自閉症は発達障害の一部」ということなので、この記事では「(知的障害を伴わない)発達障害」について書きます。
狭義の自閉症(知的障害を伴うもの)については、他の方の記事を参考にしてください。
この記事はシリーズの前編です。
テーマの本題「嬉しかった(お願いしたい)配慮とありがとうの気持ち」については、後編で書きます(予定)。
後編の記事は、アップした後にこの記事にも追記します。
以下の文章(前編)では、その前提となる発達障害の基礎知識について書きます。
私について(簡単な自己紹介)
- 自営業のプログラマーです。
- 大学院の在学中、2010年にうつ病を発症しました。
- 結局、大学院は中退しました。
- 診断名としてはうつ状態です。服薬中です。
- 過去に発達障害の診断テストを受けて、「統計的には発達障害とはいえない」という結果を受けました。
- それから数年経ち、現在の私を自己診断してみた結果、「診断されるほどではないけど、発達障害の部分的な特性を持っている」のではないか?と疑っています。
自分が疑いを持っている発達障害の特性(部分要素)
私はADHDの特性を部分的に持っているという自覚があります。 そしてそれが、うつ病の遠因じゃないかと勝手に思っています。
- 不注意
- 注意が散漫で、すぐ気が散る。その反面、好きなことには集中しすぎる傾向がある。
- 衝動性
- 思いついたらすぐに行動に移さないと気が済まない。判断と行動が直結している。
- (もう一つの特性である「多動性」は、個人的にはあまり問題になっていません。)
これらは障害というよりも「傾向」「自分の性格・特性」として解釈しています。
ただし、いいかげんな自己診断なので、正しくはないかもしれません。 (このことは、後半の記事で詳しく書きます。)
「発達障害って何?」を簡単に
以下では、一般的な理解と、自分の主観的な意見を元に、「発達障害って何?」ということを話していきます。
発達障害の定義例
医学的には脳機能障害の一種であり、発達障害の人は他の人とコミュニケーションをとったり、 普通に社会生活を送ることに困難を感じる場合があります。
(以下で行う話も、上記サイトから引用します。)
発達障害は次の特徴を持ちます:
- 治すことはできないが、症状を緩和させることは出来る
- 多くの場合、知的障害を伴わない(知的障害のある場合は、たいてい別の診断が付きます。)
発達障害の分類
診断や分類はあくまでも便宜上のもので、本質的なものではありません。 (ただし、診断は、行政による福祉サービスを受けるために不可欠です。)
これらは独立に存在するものではなく、「各々が混じり合った特性」が、それぞれの人にあると考えています。 (以下で「優位」としているのは、「その中でも際立っている特性」という意味です。)
(出典: 大人の発達障害 : 発達障害とは - 株式会社Kaien)
ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)優位型
その場の状況、相手の気持ち、次に起こることなどを想像することが苦手。思い込みがあり認知・理解のズレが発生しやすい。
ADHD(注意欠如多動性障害)優位型
注意関心の頭の切り替えが難しい、思い付きで行動しやすい、うっかりミスが多い。
LD(学習障害)優位型
作業指示の飲み込みの速度が遅い、特定の作業が何度やっても理解できない。
個人的に強調したいこと
以下は、僕個人の見解です。
発達障害の部分要素は、全ての人が何かしら持っている
実際は、色々な発達障害の要素があって、発達障害でない人(定常発達の人)も含めて、 全ての人が発達障害の部分要素を持っていると思っています。 実際の診断だけ決めるよりも、このように柔軟に考えた方が、「生きやすい社会」ができると考えています。
自己診断について
一般に、発達障害について深く理解できないうちは、「自分自身が発達障害かどうか」を自己診断すべきではありません。
まずは、書籍などで発達障害に関する全体的な知識を仕入れましょう。 とりあえず、下記の本がおすすめです。(岡田尊司さんが書いた本は、他も安心しておすすめします。)
- 作者: 岡田尊司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
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その上で思い当たる事項がある場合は、精神科を受診して「発達障害の診断を受けたい」と申し出るか、各自治体の「発達障害相談センター」で相談をうけることをお勧めします。
具体的には、以下の記事が非常に参考になるのでおすすめです。
発達障害のたとえ話 その1: 「自閉症スペクトラム障害」のスペクトラムは「つなぎ目のない虹」のこと
photo by dominique cappronnier
特徴に濃淡があるのが発達障害の特徴です。
つまり、ADHDや自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群のよくある特徴のすべてに適合する人はおらず、 部分的に当てはまる人たちがほとんどです。
例えるなら、発達障害に含まれる自閉症スペクトラムのスペクトラムとは虹色のように段階的に存在するという意味です。
(出典: 大人の発達障害 : 発達障害とは - 株式会社Kaien)
発達障害のたとえ話 その2: 発達障害の診断は「麻雀の役満(やくまん)」のようなもの
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個人的には、発達障害は「麻雀の得点計算」で例えるのが、実感として近くて好きです。 ただし、麻雀そのものを知らない方も多いと思うので、その最低限のことを先に説明します。
麻雀の場合
麻雀は「点数の高い役(やく)を揃える」ことが目的の4人ゲーム
麻雀では、プレイヤー(4人)の各々が、決まった「役」を揃えることを目指します。
(ドラえもんなどの「ドンジャラ」もだいたい同じです。)
難度の高い一部の役は役満として特別扱いされる
例:緑一色(リューイーソー)
手牌全てを緑色の牌(はい)で揃えます。
出現率は0.001%で、これは偶然で揃えるのはとても難しい役です。
(出典: 『役満一覧』ローカル、ダブルも網羅した大全集! | 麻雀豆腐)
一方で、簡単に作れる役は点数が低い(俗に「安い役」と言われる)
例:役牌(ヤクハイ); 中での役牌
「白(真っ白な牌)」「撥」「中」(三元牌)をのどれかを3枚集めると成立します。*1
(出典: 麻雀の役一覧(出現確率ランキング順))
まとめると
- 難度の高い一部の役は《役満》という「特別な名前」が付きます。
- 簡単に作れる役は点数が低いですが、一つの《役》には違いありません。
これらを踏まえて、発達障害の話に戻ります。
発達障害の場合
発達障害にも《役満》と《役》がある
発達障害を麻雀で例えると、以下のようになります:
- 《役満》=「診断」
- 《役》=「発達障害の部分要素となる特性」*2
自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群、ADHD、学習障害などは、それぞれ細かい特性があります。 それらは《役》と見なすと、かなり実態に近い発達障害の理解になります。
- 発達障害を構成する《役》は、ほぼ全ての人がそれぞれが持っている
- 《役満》(診断)と認められるためには、点数の高い《役》を揃える必要がある
- 診断がなくても、いわゆる普通の人(定常発達の人)でも、それぞれの《役》(特性)を個別に持っている人が多い
このブログでは、このような人を「診断未満の発達障害者」と呼びたいと思います。
まとめ:結局のところ
僕もそうですが、「診断未満の発達障害」を持つ人は、可視化されていないだけで相当数いると思います。 むしろ、この世には「定常発達」なんて存在しない、そう思った方が自然なぐらいです。
これが、僕がこの記事で伝えたかったことです。
いったんおしまい→後編へ
次回の記事で、いよいよ本題に入ります。ぜひお読みください。
(後編は鋭意執筆中です・・・。)
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藤原 惟