リクルート US Workshop 体験記 2-2. ボストン・スプツニ子!ワークショップ編

この記事は、リクルートホールディングスが主催した 2WEEKS アメリカ横断Workshop 体験記の続きです。(前回から間が開いてしまい、申し訳ありません・・・。)

この記事ではボストン、特にMIT Media Labでのスプツニ子!さんワークショップについてお話しします。 MIT Media Labでは、3/12, 13にスプツニ子!さんによるワークショップを行いました。

スプツニ子!ワークショップ

スプツニ子!さんについて

スプツニ子!さん(@5putniko)さんはアーティストであり、現在はMIT Media Labの助教でもあります。 代表作は、男性が女性の生理の痛みや血の排出を体験できる機械の『生理マシーン、タカシの場合。』。下記の動画をご覧ください:

その他の作品は Sputniko! WORKS に。 ジェンダーに深く切り込むセンセーショナルな作品が多い一方で、「カラスボット☆ジェニー」のようにカラスと会話できるロボットを作ったりと、自分でアートワークから機械・電子製作までやる実力の持ち主です。

日本では、著書『はみだす力』でも有名です。私も読みましたが、非常にパンキッシュながら意外と自分と違わないところもあったりして、「こういう生き方をしてみたいなあ」と勇気と元気が出る本です。

ワークショップのテーマ

そんなスプツニ子!によるワークショップのテーマは "Anime Fictions to Fabrication" で、 これは「現状可能なテクノロジーからデザインを提案するのでなく、可能や不可能の領域を超えて想像力からデザインを提案する」というテーマです。

日本での事前説明会で宿題が出されたのですが、最初聞いたとき「!?」となりました。 それは「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」「ドラゴンボールZ 神と神」「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」「風の谷のナウシカ」のうち1本を見ること。

要するに、これらはSF要素のあるアニメ映画です。 ワークショップでは、これらの作品に出てくる超能力、機械、秘密道具を、今後20年に現れるであろう技術(メディア技術、ロボット工学、電子デバイス工学、生物工学などなど)でどうやったら実現できるか?を2日間かけて真面目に考えました。

どんな感じだったか

1日目:Skypeミーティング@シカゴ

前の記事でも書きましたが、我々はシカゴで足止めされたため、急遽Skypeでスプツニ子!さんとミーティングすることになりました。 基本的には持ち寄ったアイデアをブレストして、スプツニ子!さんからアドバイスをもらうという感じでした。

(実は私は体調不良のため、少し離れていました・・・。)

2日目:ワークショップ本番

2日目は、スプツニ子!さんと話しながら本格的にアイデアを詰めて、最後にプレゼンを行いました。 全員で11人のグループが3チームに分かれてそれぞれ活動しました。

3チームとも、当初は1つの部屋でミーティングしていたが、スプツニ子!さんが「狭い部屋だとアイデアも出ないでしょう」と、色々な研究グループに連れ回していただきました。

僕らは、未来の3Dプリンタを研究するMediated Matter Groupと、感情情報処理について扱うAffective Computing Groupを案内してもらいました。

Mediated Matterグループでは、生物的な素材でプリントされたものや、糸を編んで巨大なオブジェをプリントする3Dプリンタなどを見せてもらいました。 Affective Computingグループでは、感情のモデルやモバイル感情測定デバイスについて紹介してもらいました。 どちらも知的好奇心を沸かせてくれる説明で、私はとても興奮しました。

プレゼン

最後に、プレゼンを行いました。

我々の班は、『ミュウツーの逆襲』をテーマに、ミュウツーが使うサイコキネシス(遠隔で物を動かす超能力)について考えました。 大阪大学・情報科学研究科の前田研では、頭に電気刺激を与えることで(ぐるぐるバットをした後のように)勝手に体が動くことを利用し、人を操縦する研究がなされています。 これを元にして、ミュウツーのサイコキネシスのようなものもできるのでは?という話をしました。

他の班で魅力的だったプレゼンを挙げると、匂いの記憶を残すデバイス「Nior(ニオール)」を発表した班が面白かったです。メッセージが分かりやすく、物語性があるため非常に勉強になりました。

以上が、スプツニ子!さんのワークショップでした。

感想

私はどちらかと言えば情報系・理系と呼ばれる領域で学んできたため、あらゆるアイデアを自由に出し合うということ自体が新鮮でした。 また、メンバーの中にはデザイン系の子もいたのですが、彼の直感的なひらめきがすごい。どうやったら思いつくんだwというアイデアを出してくれて、非常に刺激的でした。

個人的に一番記憶に残ったのが、Media Labの研究室を実際に見学させてもらったことでした。 僕にとっては聖地のような存在だったのが、一気にリアリティを増しました。 ここに留学してみたいとはずっと思っていたのですが、その思いが具体化したようでした。

最後にスプツニ子!さん、このような場を提供させていただきありがとうございました。 とてもいい刺激になりました。

次回予告:石井先生との問答

次の更新では、石井裕先生(@ishii_mit)との問答について書きたいと思います。 一言感想を言えば、壮絶でした・・・。お楽しみに。